徒然なる戰藻錄

WoTとWoWSをプレイしているところなのです

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戦闘とは兵器が戦うのではなひ

はおヾ('ヮ'*)ノ

今回のメンテで先行配信となった二座水偵《零式水上観測機》

わかる人は名前を見ただけで機体外観、用途などスラスラ浮かび上がるでせう。
でも大方の人はそうそうピン(゜∀゜) とはこないことでせう。

零式水観とか霊感……零観として呼ばれるこの機体は、《零式》の名称からわかる通り、かの有名な零式艦上戦闘機と同時期である昭和15年(1940年)に採用された機体。しかも開発元は同じ三菱です。
ちなみに、零式とは、神武天皇の即位を起源とする皇紀にもとづくもので、昭和15年はちょうど皇紀2600年となります。その2600年の下ヒト桁を使ったのですネ。

水上観測機は、戰艦同士の砲撃戦の際、敵艦隊上空に陣取り、味方艦隊の射撃結果を観測し、適切な射撃データを艦隊に送る役目を帯びています。
戰艦の主砲の射程が著しく延長し、長距離砲撃戦でいち早く敵艦に命中弾を叩き込むことが勝利のカギとなるため、長距離観測手段として水上機が運用されるようになったわけです。

ただし、ただ漫然と敵艦隊上空に陣取って観測していればいいかというとそうではありません。

当然、敵は観測されないよう妨害してきます。
艦隊からの対空射撃はさほどのものではありません。実際、敵艦との水上射撃戦と対空射撃は両立しません。21世紀の今日のように、高度に発達したレーダーとコンピュータ制御の戰鬪システムがあるなら別ですが、1930年代~40年代にそのようなハイテクはありません。

なので、観測機を妨害する手段は航空機、とりわけ戦闘機になるわけです。

日本海軍は三菱に対し、敵戰鬪機の妨害を独力で排し、そのうえで敵艦隊上空での観測任務に就く機体を開発するよう求めたわけです。

コンピュータモデリングと高度な演算機能で空気抵抗などを計算して、空力的に洗練された機体を開発できる21世紀の今日と違い、当時は技術者の直観と開発眼、観察眼が頼りでした。海軍の要求がムチャなのは百も承知。それでも、三菱の技術陣はどうにかこうにか、期待に添えられる機体を開発します。

それが―――

130704

この複葉型式の零式水上観測機です。

艦これで零式水上偵察機のイラストを見た方からすれば、複葉機なこの零式水観を見て時代遅れ、性能悪そうなイメージを抱くかもしれません。
でもそれは間違いなのですヨ。

単葉機全盛の1940年代初頭に、なぜ複葉型式を採用したか―――

それは機体寸法を切り詰め(容積に制限のある軍艦内での整備・運用のため)ながら、運動性能の目安となる翼面荷重を大幅に減少させるためです。
単葉にくらべて複葉は、単純に見て主翼面積が倍になるわけですから、当然、運動性能もその分向上するわけです。
運動性能の向上は、敵戰鬪機の妨害を躱す要因になります。いわば、五条大橋で弁慶を翻弄した牛若丸のごとき空中戦が可能になるわけですね。
事実、零式水観の空戦性能(運動/格闘戦能力)は零式艦上戦闘機、九六式艦上戦闘機を凌駕しています。


ところで―――

この種のゲームのように、戦車、戦闘機、戰艦、潜水艦などといった兵器を扱う場合、よく持ち出されるものが、「どの戦車が強い」、「あの戦闘機って強いの?」、「戰艦ってマヂ使えなくね?」といった、兵器の性能のみを見た単純な強弱の判断ですね。

くろちゃんはそう聞かれた場合、最近だとF-22、F-35、一〇式戦車、イージス艦などですが、聞かれた場合はこう返しています。
「大戦略とかやれば? 兵器の性能をダイレクトに数値で反映しているからわかりやすいよ」と。

残念ながら、現実の戰鬪に於いて、兵器の優劣で勝敗が決まるケースは滅多にありません。
考えればわかることですが、戦車や戦闘機、ミサイル、銃―――
そういった兵器が戦うのでせうか? 自ら意志を持って?
それら兵器を扱い、戦うのは兵士、つまり人間です。

武器兵器を扱う人間が、その扱う兵器武器に習熟していないと、その能力を十二分に引き出すことはできません。

たとえば―――

現在、世界トップクラスの性能を誇る陸上自衛隊の新型一〇式戦車。これを目の前にポンと置かれて、「よし、これに乗って戦え」と言われて、戦えますか?
どうやって戦車を走らせるのか、主砲を撃つのか、砲弾をこめるのか、射撃システムを立ち上げて操作するのか……
戦車について理解し、何べんも繰り返し訓練していないと、すぐには戦車を操ることはできないですよね。

戦闘とは―――
そういうものです。
ゲームと違い、兵士の優劣が幅を利かせる……それが現実の戦場であり、戦争なわけです。

この零式水上観測機も同じです。
複葉型式という、時代に逆行するようなデザインながらも、卓越した性能を誇って先の大戦を戦い抜いた背景には、その性能を存分に発揮しうるだけの優秀な水上機乗りがいたからです。

その一例を、ご紹介しませう。

昭和17年8月下旬、日本海軍は南太平洋はソロモン群島のイサベル島レカタに水上機部隊を配備しました。
R方面航空部隊という名称を与えられたその部隊は、零式水上観測機をはじめ、零式水上偵察機、二式水上戦闘機、九四式水上偵察機、九五式水上偵察機などで編成され、ソロモン中央水道の対潜哨戒、船団護衛、連絡、索敵など多様な任務に従事していました。
ちなみに、この部隊には水上機母艦の『千歳』も所属していました。

詳しい月日は忘れましたが、昭和17年の9月のことです。
イサベル島方面に7機の米軍機が索敵攻撃をかねた哨戒飛行で飛来してきました。
やってきたのは、ロッキード社の双発戰鬪機P-38ライトニング。山本聯合艦隊司令長官機を撃墜したことでも知られる戦闘機です。

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このP-38の編隊を迎え撃ったのが、11機の零式水上観測機でした。

機体の性能からすれば、いくら11機と数で勝っていても、零式水観では純粋な戰鬪機であるP-38には勝てないでせう。

参考までに、両機の性能を示します。

◆零式水上観測機
全長:9.5米(メートル)
全巾:11.0米
戰鬪重量:2.86噸(トン)
最高速度:200節(ノット)/時速約370粁(キロメートル)
発動機:三菱 空冷星型複列14気筒《瑞星一三型》×1
離昇出力:780馬力
航続距離:578浬(カイリ)/約1,070.5粁
実用上昇限度:9,440米
乗員:2名
武装:
九七式七粍(ミリ)七機銃×2(機首固定)
九二式七粍七機銃×1(後方座席旋回式)
六番(60瓩《キログラム》)または三番(30瓩)爆弾×2


◆P-38ライトニングL型
全長:11.53米
全巾:15.85米
戰鬪重量:9.8噸
最高速度:360節/時速約666.7粁
発動機:アリソンV1710液冷ターボスーパーチャージャーV-12×2
離昇出力:1,600馬力(1基あたり)
航続距離:956浬/1,770.5粁
実用上昇限度:13,400米
乗員:1名
武裝:
イスパノM2(C)20粍機関砲×1
コルト・ブローニングMG53-2/50口径12粍7機銃×4
2,000ポンド爆弾or1,000ポンド爆弾×2
500ポンド爆弾or250ポンド爆弾×4


火力、速度など、どれをとってもP-38の優位は揺るぎませんね。
これが大戦略などのようなゲームだと、ほぼ確実にP-38の勝ちです。性能面から判断して。
P-38は運が悪ければ1機ぐらい墜ちるでせう。
零式水観は運が良ければ1機ぐらい残るでせう。
そんな結果になりますね。

じゃぁ実際は……?

優秀なゲタバキ乗り(水上機乗り)を多数抱えていた当時の日本海軍の零式水観11機に対し、P-38は7機。

その結果は―――

御想像の通りです。

P-38は全機撃墜されました。

零式水観は損失0でした。

被弾損傷機はありますが、完全損失は0です。

乗っている機体の性能を十二分に理解し、敵機の機体特性を実戦を経て把握し……そのうえで、どのように機動すればゲタバキ機で重戦闘機を撃墜できるかを、水観の搭乗員は実戦でそのワザを見事に披露して見せたわけです。

性能で劣っていようとも、操る兵士のウデでカヴァーできるわけですネ。

艦これでは、まぁ……ゲームですから裝備などの数値がハバをきかすのはやむを得ないですが、旧式の驅逐艦娘であっても、高Lvになっていれば(実戦経験豊富という意味になりますね)、戰艦であろうと撃沈できるわけです。

零式水観。

実装されたらトバしてみたいものです。



壁|'-')ノよいお年を。
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コメント

NO TITLE

宛:羊司令長官
>ウィキ
ウィキに載らないものを記す...それが戦藻録くおりてぃー
wiki見れば十分なものをここで書いてもしょうがないですものね(*´ω`)

>日露
しかもロシア側は英国の妨害もあって訓練も補給も艦の整備もままならなかったですしね
対馬沖の海戰は勝てるべくして勝った戦いですネ


宛:薄月司令長官
>零式水観強い
戦記モノのコミックとかみると、零式水観のかぎらず、兵器のちょっとしたおもろい話とかありますからね
古本屋とかで探して読んでみるのもいいかもですゾ

太平洋戦争中、島の部族民の襲撃を逃れて脱出するため、日米両軍が一時的に休戦して脱出を図ったという珍事もありますからね。こぼれ話とか、楽しいものです

NO TITLE

長文すごいです!!(゚∀゚)
馬鹿な私には何が何だかわかりませんでしたww
一つわかったことは・・・
零式水上観測機は強いと言うことだけです・・・
国語力なくてすいません・・・m(_ _)m

NO TITLE

毎度、面白くてためになる話をありがとうございます。

これウィキペディアにも載ってない話ですよねー。こういう話はあらかじめ読んでいないと書けないですから、僕のように適当に書くわけにもいきませんし、尊敬しかありません。

日露戦争で、バルチック艦隊が日本海までやってくるのを待つ間、日本海軍には十分に訓練する時間があり、その間に砲撃精度や操艦を十分に鍛えることができたという話を思い出しました。

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