徒然なる戰藻錄

WoTとWoWSをプレイしているところなのです

『浦波』とその仲間たち

ウェーイヾ('ヮ'*)ノ

予想に反してE-1で、あっさりさっぱりポン酢風味に『浦波』を確保・回収できてしまい、ずるずる引っ張っていくネタがなくなってしまったので、今回は『浦波』とその僚艦について簡潔かつてけとーにご紹介していこうと思います。


◆『磯波』
161202isnm
横濱港を出港する第一九驅逐隊の『磯波』(昭和5年9月5日撮影)

『磯波』は『吹雪』型第9番艦として、浦賀船渠にて建造されました。
『磯波』は9番艦ながら、『吹雪』型でイの一番に竣工した艦で、昭和3年6月30日に竣工しました(1番艦『吹雪』は同年8月10日竣工)。
ちなみに起工は大正15年10月18日で、『吹雪』より4箇月遅い起工でした。

161202isnm2
碇泊中の『磯波』(昭和5年ごろ撮影)右遠方の艦は同型の『薄雲』

『吹雪』型驅逐艦は合計で24艦が建造されましたが、その第1グループであるネームシップの『吹雪』から始まる10艦は、最後の10番艦を除き、外観上の特徴として第一煙突両舷に煙管型の罐室給気口を設けています。

下画像のブッキーが背負っている機関系統の艤裝を見るとよくわかります。
海水の流入を防ぐため、口が進行方向ではなく艦尾側を向いているのも特徴です。
161202fbk

『吹雪』型の機関系統は艦首側から第一~第三罐室、両舷に二分された前部機械室、補機である後部機械室の順となっています。
主罐はロ號艦本式重油専焼罐が4基で、第一罐室に一號罐、第二罐室に二號と三號罐、第三罐室に四號罐が置かれ、一號と二號罐が第一煙突、三號と四號罐が後部煙突から排気する形になっています。

主機は艦本式ギアード・タービン2基で、2軸推進で5萬馬力を発揮し、満載2,200噸のこの艦体を最高38節(時速約70.4粁)で疾驅させることができました。
『吹雪』型は日本驅逐艦で初めて巡航タービンを搭載した驅逐艦でもあります。

161202isnm3
碇泊中の『磯波』

『吹雪』型驅逐艦の艦尾艦内は1層、途中から2層となっていて、洋上に浮かんでいるときは艦尾部分がそれほどの高さをもっていないことはわかりません。
艦尾部分には、第四と第五兵員室が置かれ、その後方に第三運用科、第一機關科、第二水雷科の各倉庫が置かれました。
第五兵員室の下には水雷火藥庫、小銃彈藥庫、第二機關科倉庫が置かれています。

161202isnm4
第二艦隊第二〇驅逐隊時代の『磯波』
『磯波』は昭和6年12月に第一九驅逐隊よりのぞかれ、翌年11月まで『吹雪』、『東雲』とともに第二〇驅逐隊を編成しました


『吹雪』型驅逐艦は軍縮条約によって主力艦による決戦が厳しくなったことを反映して、魚雷による敵主力撃砕を目的として、魚雷兵裝を強化して登場しました。
竣工時に『吹雪』型に搭載された魚雷發射管は、兵員が露天状態で操作する一二年式61糎三聯裝發射管改一を3基で、一番聯管が第一と第二煙突のあいだ、二番聯管は第二煙突後方、三番聯管はそのさらに後方に設置されました。
搭載魚雷は予備を含めて18本。予備魚雷は第二煙突両舷に3本ずつ。三番聯管用の予備魚雷は後部甲板左舷の格納筐に3本が用意されています。

次發裝填裝置はなく、クレーンを使って發射管に装填しました。
洋上行動中にクレーンを使う装填に危険を感じるかもしれませんが、『睦月』型などの古い驅逐艦に装備されていた甲板軌道運搬車で運ぶよりは、はるかにはやく装填できたといわれています。

161202ngtk

上画像の『長月』が脚部につけている水雷艤装のように、一二年式61糎三聯裝發射管は、3つの發射管が水平に並んでいるのではなく、中央の發射管が左右より若干高い位置にかさ上げされています。
このようなかたちになったのは、魚雷の直径が61糎と大型化したため、發射管の装置の巾を少しでも狭めておこうという配慮だといわれています。
發射管は人力と機械併用で旋回させることができ、360度旋回に機械なら23秒、人力だと35秒かかりました。

161202isnm5
昭和4年12月ごろの『磯波』

艦これの『睦月』型、『吹雪』型は防楯裝備の發射管となっていますが、竣工時は防楯をもたない兵員操作部がむき出しとなった發射管でした。
これだと、高速航行時や荒天下では激浪を水雷科員が浴びることとなり、最悪の場合は波にさらわれて海に投げ出される危険がありました。
現場から波浪防禦用の防楯取り付けの要望が出され、運用評価のためベニヤ板を用いた仮設防楯が装着されました。運用評価は高く、その防禦効果は十分なものでした。
最初の防楯は愛知時計が製作したジュラルミン製のものでした。これは軽量ではありましたが、海水に曝される艦上では腐食することがわかり、その後、鋼鉄製に改められました。

防楯の改良はその後も続き、機銃弾から兵員と装置を守るため厚さ3粍の鋼鈑を用いた特殊製鋼製防楯を備えた下画像のようなタイプが正式に採用され、『暁』型4艦に建造時点から搭載されました。
ほかの『吹雪』型20艦も、昭和7~8年ごろから順次、改装されていきました。
161202isnm6


◆『綾波』
161202aynm
昭和6年8月ごろの『綾波』

『吹雪』型驅逐艦は以後の日本驅逐艦の基本形ともなったクラスであり、艦の指揮中枢である艦橋構造物もまた、以後の驅逐艦艦橋構造の基本となりました。
『吹雪』型の艦橋は塔型三層構造で、艦橋内の層状は『睦月』型とくらべて変化はありませんが、トップの羅針艦橋に天蓋が設けられ、全周を鋼製板で塞ぎ、窓ガラスが設けられました。
『神風』型までは羅針艦橋は露天となっており、雨天の際は天井にケンバスを被せる仕様となっていました。『睦月』型は天井以外は鋼製板を設けていましたが、天井はケンバス製でした。
ケンバスでは荒天時、海水が浸入し戰鬪指揮、操艦に支障を生じることがままありました。

艦橋が大型化したことで、重心の上昇を防ぐため、軽量化を狙ってジュラルミンなどの軽合金が用いられました。大正末期から昭和初期にかけて、この種の素材を艦艇に用いるのは画期的なことでしたが、海水による腐食が著しく、改裝で順次、鋼鉄製に改められていきました。

『吹雪』型の第一グループの10艦の艦橋内は、下層の船首楼甲板部に艦長室、その後方に予備室。中層に前部電信室、その後方に海図室兼射撃指揮通信中継所、無線電話室。上層には左右に大きく張り出した構造の羅針艦橋、發射發令所、その後方に艦長休憩室があり、その後方には露天の信号所があり、前檣基部があります。
羅針艦橋の左右天井にハッチがあり、そこから羅針艦橋天井部に設置された手旗信号台にあがることができます。
羅針艦橋の上は射撃指揮所である上部艦橋で、測距儀や方位盤が置かれていました。上部艦橋は前面と側面に鋼鈑製の板とガラス窓を備えていましたが、天井はケンバス製でした。


161202aynm2
横濱港で出港準備中の『綾波』と『敷波』(昭和6年9月5日撮影)

上の画像でもわかるように、『吹雪』型の艦尾両舷には丸みを帯びた張り出し部が設けられています。
『吹雪』型は設計当初、8組32個の連携機雷と、艦尾に大掃海具2基を装備する予定でした。機雷関係裝備は搭載見送りとなり、爆雷裝備のみが搭載されました。
艦尾のこの張り出し部は大掃海具搭載の名残で、掃海具裝備の可能性を考慮して設けられたといわれています。

艦尾端には八八式三型改一發煙罐4基が搭載され、發煙展張器2本が舷外へ突き出て装備されていました。
煙幕を展張しつつ敵主力に肉薄し搭載魚雷を放つ―――
そういった魚雷戰を想定しての裝備でしょう。


◆『敷波』
161202sknm
昭和5年ころの『敷波』

『綾波』からはじまる10艦は、『吹雪』型第2グループに属します。いわゆる『綾波』型と称するタイプで、改『吹雪』型驅逐艦です。
外観の特徴としては、第1グループの特徴でもあった煙管型給気口を廃止し、第一、第二煙突基部にお椀型の給気口を設けた点です。このお椀型給気口は以後の日本驅逐艦の特徴となり、『秋月』型8番艦『冬月』以降の艦と戦時量産の『松』型、『橘』型以外の驅逐艦に装備されました。

『吹雪』型第2グループ9番艦の『漣』には空気予熱器を備えた罐が搭載されました。これはエア・プレヒーターとも呼ばれ、主罐から発生する余熱を利用して、炉へ供給する空気を熱するもので、省エネをはかるために採用されました。
『吹雪』型のほかの驅逐艦にも、改修などの機会を利用して順次、装備されていきました。

161202sknm2
昭和6年ころの『敷波』と右遠方の艦は『綾波』

第2グループは射撃関連装置の更新も行なわれ、それに伴って艦橋構造も第1グループに比べて大型化しました。
艦橋の外観は、第1グループが丸みを帯びているのに対し、第2グループはやや角ばった形状となりました。
艦橋内の配置はほとんど変化はありませんが、上部艦橋には大型の円筒構造物が置かれ、ここには方位盤照準装置が設置されました。
第1グループは2米測距儀と方位盤のみが搭載されていましたが、『綾波』以降の第2グループは方位盤照準装置が搭載されたため、射撃指揮所と方位盤照準装置は別個に配置されました。

以下に、略図ですが第2グループの基本的な艦橋内配置図を載せます。

161202island


161202island2


161202island3
イ:手旗信號台
ロ:魚雷戰方位盤
ハ:發射指揮盤
ニ:12糎双眼望遠鏡
ホ:方位測定用従羅針儀

161202sknm3
舞鶴沖で全力公試運転中の『敷波』(昭和4年11月13日撮影)

『吹雪』型以降、『夕雲』型までの驅逐艦に搭載されたのが、50口径三年式12糎7二聯裝砲です。一部の艦には單裝砲型も搭載されました。
第2グループ以降の『吹雪』型に搭載されたのは、B型と称するタイプです。
これは對水上だけでなく、對空戰鬪も考慮したもので、砲身の仰角は75度にまで引き上げられました。主砲による對空射撃は、昭和2年ごろに開かれた軍備制限研究委員会での答申によるもので、同じころには『高雄』型巡洋艦の主砲も對空射撃用に仰角の増大が検討されました。
B型砲は後述のA型砲と比べ、砲塔形状がやや平たくなっています。

161202sknm4

砲塔の左側に半円形の突起があり、ここに鎧戸式のシャッターが設けられ、高角照準を目的としていました。上の画像は『敷波』の艦首1番主砲で、砲塔左側に半円の突起があるのがわかります。
B型主砲は昭和10年頃に、半円の突起をフラットな平板に改め、鎧戸式シャッターを引き戸式の窓覆いに改修されています。
これは第四艦隊事件による砲塔や照準孔の強度不足に対する措置とみられます。

161202aynm3

『綾波』改二でこのB型砲を見ることができます。
裝備図鑑の12.7cm聯裝砲はデフォルメされすぎて使い物にならず、むしろ砲塔上面をのたくるパイプのようなものの配置から、A型單裝砲に似た形状で参考になりませんでした。

B型砲塔は毎秒6度の角度で旋回可能で、俯仰速度は毎秒20度で砲身を上下させることができます。


◆『浦波』
161202urnm
昭和5年ころの『浦波』

『浦波』は『吹雪』型第1グループの最終艦で、特Ⅰ型に属している艦です。ですが、いくつかの改良が行なわれており、Ⅰ型改とも呼ばれます。
最大の特徴が、第1グループの外観上のポイントであった煙管型給気口がお椀型になっていることです。

161202urnm4

『浦波』中破画像でその点も確認できます。
艦橋構造については変更はありませんでした。

161202urnm2
主砲3基すべてを右舷に指向し砲身に仰角をかけている『浦波』

前述したとおり、『吹雪』型には50口径三年式12糎7二聯裝砲が装備され、第1グループの10艦にはA型砲が採用されました。
この主砲は当初、その口径を秘匿するため12糎砲と呼ばれていました。
『睦月』型や『神風』型に搭載された12糎砲は装薬をつめた薬莢と砲彈が一体化した莢砲式でしたが、三年式12糎7砲は砲彈と装薬を分離してそれぞれを砲身に装填する嚢砲式になっていました。

砲彈重量は23.5粁で、装薬は常裝、弱裝、減裝の3種類がありました。
砲身は最大仰角40度、俯角は7度で、旋回速度は毎秒6度、砲身の俯仰速度は毎秒12度で、砲1門あたり毎分10發の發射が可能でした。

砲彈の初速は毎秒910米で、射程は仰角5度でおよそ7,200米、10度でおよそ1萬米、20度でおよそ1萬4000米、30度でおよそ1萬6600米、最大の40度の際は1萬8200米となります。

161202urnm5

砲塔はB型と違って四角い箱型をしており、ひとめでB型砲との区別がつきます。
戰艦の主砲塔は敵主力艦の砲彈を弾き返すだけの厚みを持たせていますが、驅逐艦では砲塔に耐彈・抗彈性能は全くありません。
驅逐艦の主砲が砲塔形状をしているのは、艦首から甲板上に突っ込んでくる波浪に砲操作員がさらわれることがないようにとのことからです。
なので12糎7砲彈どころか格下の3吋砲彈ですら貫通できます。初速のはやい機銃弾なら、たやすく貫通する程度の薄い裝甲厚しか持っていません。

砲塔の側面に3本のレールが走っています。
これは砲塔が激浪に叩かれて破損しないようにするための補強フレームで、A型主砲の特徴でもありました。

161202urnm3

上の画像は昭和6年9月5日、本牧沖を横須賀へ向かう第二水雷戰隊の驅逐艦群で、中央の艦は第一九驅逐隊『浦波』。続航艦は同隊の『敷波』。
遠方の2艦は第一一驅逐隊『吹雪』、『白雪』、『深雪』、『初雪』のうちの2艦です。



壁|'-')ノよいお年を。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメント投稿

管理人にだけ読んでもらう