徒然なる戰藻錄

WoTとWoWSをプレイしているところなのです

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新艦娘を求めて

それはある晩夏の日の昼下がり。

明け方に発令された警戒警報も解除となり、大和は第一哨戒配備を第二哨戒配備に戻し、GF(聯合艦隊)長官の執務室へと向かっていた。
鎮守府庁舎は一部をのぞいて空調がついていないので、蒸した空気を換気すべく各階の窓という窓は全開になっている。機密保持の点からすれば、これはあまりよいことではないが、閉じようものなら艦娘たちが暴動を起こすだろう。

開け放たれた窓から蝉時雨が怒涛のごとく押し寄せてくるなか、大和は廊下でぴたりと立ち止まった。
はぁ……とひとつ溜息。
廊下の向こうから、蝉時雨をものともしない大声が雷鳴のごとく殷々と響き渡ってくる。
大和(今日もですか。懲りないですねぇ)

声の出どころは容易に察しがつく。
長官執務室以外にありえない。
大声と、それに負けじと泣きわめく蝉時雨に板挟みとなりながら、大和は塵一つないリノリウム張りの床に足音を響かせながら歩き出す。

執務室のドアの前に立つと、もう疑いようがないほどの音量でやりあう声が大和の全身を打ちつける。

ドアノブを握りしめ、今日はなんのネタでやりあっているのだろうと思いつつ、執務室のドアを押し開けた。

長門「よろしい、ならば戦争だ!!
赤城「あは、深海棲艦隊相手に戦いながら、どうやって空母に勝とうというの? 大砲屋は大局的見地に立って情況を把握できないから困るわね」

いつものよくある風景。
長門と赤城の口喧嘩。
止めるでもなく、遠巻きに眺め、談笑し、お茶を飲んだり本を読んだりしている艦娘たち。
執務室というのは、執務をするための部屋ではないのだろうか、と思っていたのは着任当日までのこと。
着任から1箇月を過ぎたいまとなっては、これがこの鎮守府―――この聯合艦隊の日常なのだろうと納得してしまっていた。

GF長官は部屋の隅に押しやられた、尋常小学校から払下げてもらった机に向かいながら、なにやら書類を眺めている。
机の横に長官の鞄があるのだが、そこに電信綴り用の板があるところを見ると、どうやら外地から電文でも届いたのだろう。

大和「長官、今朝の哨戒配備の報告書です」
GF長官「ん? ああ、報告書……報告書……うん、そうだね、今朝のだね」

大和「今日はどうしたのですか?」
大和は飽きることなく言い合いを続ける長門と赤城の件を尋ねた。

毎日これだと長官もほかの艦娘たちも五月蠅いと思っているんじゃないだろうかとみていたのだけれど、不思議なことに誰もそんな素振りを見せない。
どうもこの2艦のやりとりを執務室の備品の一種と捉えているフシが見受けられる。
大和(ここの艦隊にいたら、わたしも同じような考えを持つようになるのカナ?)

GF長官「いつもの戰艦主兵と航空主兵の議論だよ。毎日やっているけど飽きないのかな。それとも一晩たつと忘れちゃっているのかな」
さりげなくヒドいことを言っているなと思いつつ、大和は長官の手元の電文を覗き込んだ。
この行為自体も、ほかの鎮守府や艦隊では考えられないことだ。大和自身も気づかぬうちに、この鎮守府に染まってしまっているようだ。

GF長官「ラバウル(仮称)からだよ。またぞろ、連中がワルさしに来ているらしいね。珊瑚海に敵の機動部隊が出没している」
大和「出撃ですか?」
出撃ともなると、備蓄資材の在庫状況から見て、そう大規模な艦隊行動はとれないだろう。
先月実施の南方泊地への強襲攻撃で、相当量の資材を消費してしまっている。そのため、遠征部隊はここのところまったく休みも取れずに走り回っている状況だ。
いつもなら執務室で絵を描いたり朝顔の観察日記をつけていたりしている驅逐艦娘たちの姿がほとんどないことが、遠征部隊の目まぐるしさを物語っている。
榛名「カレー洋でも敵の動きが活発化していますから、すぐに南方へいくとなると、回せるのはいまここにいる艦娘たちだけですね」
榛名の差し出す梅こぶ茶を礼を言って受け取り、大和は室内をぐるりと見渡した。
大和(北方での作戰もあるし、行くとなると……交代要員が期待できないか……)

巡洋艦の一部は北方海域とカレー洋、二等巡洋艦はバシー方面に輸送船狩りに出ている。すぐに動けるのは七戦隊の熊野、鈴谷。それと一〇戰隊の百合姉妹ぐらいだ。
驅逐艦の一部は出撃可能だが、遠征に備えて戦意を高めた状態を維持しなければならないので、できればあまり出したくない。とくに精鋭の第二驅逐隊が欲しいところだけど、あっちは対潜制圧などでひっぱりだこだ。

GF長官「それで、大和、キミ、ちょっと行って追っ払ってきてくれないかな」
大和「……………………」
榛名「大和となら安心ですね。18吋主砲で鎧袖一触、大本営発表が楽しみです」
18吋主砲なら榛名も装備しているでショ、と内心ツッコみながら、大和は長官の顔をじっと見つめた。

GF長官「南方なら位置的にもバシーの艦隊を回すのが一番だろうけど、イムヤや夕張には荷が重すぎるからね」
たしかに、敵に戰艦や空母といった主力艦がついているのだから、イムヤこと伊號第一六八潜水艦や二等巡洋艦の夕張、驅逐艦たちの手に余る。

大和「で、でも長官、大和1艦で……です……か?」
GF長官「よろしく」
大和「ちょ、ちょっと待ってください。いくら大和でも単独では勝てる戰も勝てませんよぉっ!!

長門「そこを勝つのが聯合艦隊だ!!
横からしゃしゃりでてきたのは、ついいましがたまで赤城とやりあっていた長門。興奮しているのか、16吋聯裝砲塔の旋回速度が見るからにハヤい。
赤城「なら長門さん、あなたひとりで行ってきたらどう? 聯合艦隊最強の戰艦、なんでしょ?」
長門「うむ、長官のお許しがあればやってみせよう」
赤城の挑発に、長門は激烈に反応することなく鷹揚に頷いた。
もちろん、そのまま素直にスルーできるほど長門はデきていない。

長門「なにしろ艦上機がいなければなにひとつできない鉄の箱舟とは違うからな、戰艦は!!
赤城「できなっ……そ、それはどういう意味よ!!? 空母と艦上機は一心同体、空母あってこその艦上機、艦上機あってこその空母なのよ」
長門「ほほぉ、鉄の箱舟とは空母のことであったか。いやはやそれは知らなんだ。空母など一言も言っていないから、その反応は衝撃の新事実!!
赤城「ぐ……そ、それに、戰艦などという射程の短い大砲しか積んでいないフネでは、敵を攻撃する前に逃げられてしまうわよ。せめて金剛姉妹並みに足を速めたらどうなのよ、その魚雷みたいな図太い脚を!!!
長門「む、これでもわたしは攻守機動性の三拍子そろった万能戰艦と近所では評判なのだ。金剛姉妹には確かに及ばないが、我が25節を超える速力をもってすれば―――」
赤城「25節をもってすれば(`・ω・´)キリッ」
長門「に、25節は十分な速度ではないか」
赤城「あ~ら御免あそばせ。32節をたたき出せるわたしのカモシカのような足を基準にしていたものだから」
長門「カモノハシだと!!
赤城「がうっ、カモシカ!!!

130922

大和はうんざりしながら長官に向き直った。
大和「この2艦に任せていいですか?」
GF長官「却下」
どうしてもわたしに単独出撃させたいらしい、長官は。
その真意はよく理解している。
中破して半脱ぎ状態で帰還することを楽しみにしているのだ。
艦娘図鑑を埋めるために―――

普通の人からすれば、GF長官の外道非道っぷりを誤解するかもしれないが、新しく来た艦娘を戦場に送りだして脱がすのは、提督の務めなのだ。これは万古不変の海軍軍人の信念であり伝統でもある。
わたしにすればハタ迷惑だけど。

大和「せめて1艦か2艦、随伴を許可してくれませんか? カムランやバシーとは違いますから、南方は」
先月の戰鬪で南方海域の深海棲勢力に多大な打撃を与えたのだが、連中の拠点が近いのだろうか、すでに大規模かつ有力な艦隊が押し寄せてきている情況だ。フラッグシップやエリート級の艦も多いだろう。
敵が通常型のみであれば大和1艦でもなんとかなるけれど、さすがにフラッグシップやエリート艦がわんさといる場所に単独でツッコむほど無謀ではない。

GF長官「んー、そうだね」
長門「長官、迷うことはない。この長門が大和を全力で支援しよう」
赤城「いえ、ここはこの赤城が。大和さんの火力とわたしの航空打撃力が一致協力すれば、深海棲艦隊などたちどころに粉砕してご覧にみせますわ」
大和(正直、どっちでもいいです)

GF長官「あ(・ω・)」
長官がにこにこしながら長門と赤城を見た。
これはなにかよからぬことを考えているに相違ない。そしてそれに大和が巻き込まれるのは確定的に明らか。

GF長官「長門、赤城」
長門「なんだ、長官。出撃か」
赤城「なんでしょうか、食事なら済ませていますが、提督が喫茶店にいきたいというのならお供致します」
GF長官「ふたりにはそれぞれ北と西に行ってもらう。そして―――」
長門「ビッグ7の力、見せてくれよう」
赤城「佐世保ばーがー、といふものがあるらしいのですが、一度食べてみたいですね」
GF長官「ちょうどいい機会だ。未回収となっている新艦娘をどっちがはやく手に入れることができるか勝負したらどうかな?」

榛名「どちらも話を聞かない……でも会話が成立するんですよね。不思議ですねぇ」
大和の傍らでやりとりを眺めていた榛名が、感心したような口調で言った。
たしかに、長官も長門も赤城も相手のことなどお構いなしでしゃべっている。それでも相手の話した内容を把握しているのだから、たいしたものだと感心する。時折だけど。

GF長官「長門には三戰隊の二小隊、四戰隊の一小隊をつける。カレー洋での三隈の回収を任せた。赤城には北方へ行ってもらう。二航戰と三航戰、あと現地の艦隊も任せる。場合によっては金剛なども回そう。初風の回収、任せるよ。
三隈と初風、ともに回収は困難だが……だからこそ勝負としてはなかなかだろう? ここで連日言い合うよりは建設的だと思わないか?」

あ、やっぱり長官は五月蠅いと思っていたのか。それとも、毎日毎日、おなじことを繰り返し強制的に聞かされてうんざりしているのかもしれない。
長門「ふむ、比叡や愛宕たちか……それでリランカの敵を撃滅して三隈を……胸が熱くなるな!!
赤城「最激戦区ですけど、金剛さんなどの支援を受けられるのでしたらなんとかなるかもしれないわね。いいですよ、その勝負、受けてたつわ!!!
長門「わたしも異論ない。ふふ、長年の論争に終止符を打つときがきたようだな、赤城」
赤城「ええ、そのようね。長門さん、負けを認めるならいまのうちよ」
長門「ふ...勝てないとわかって怖気づいたか。そのような小手先だけのやりかたで膝を屈する長門……いや、戰艦ではないぞ」

大和「あれ? 結局わたしは...」
GF長官「ここにいる榛名、あと一航戰をつけるよ。それなら大丈夫だろう?」
大和「ま、まぁ……それでしたら」
榛名「よろしくお願いしますね、大和さん」
まぁ……1艦だけで出撃することにならずにすんでよかったカモ。
榛名と一航戰か。それに西と北でも……
資材、ようやく貯まったというのに、はやばやと使っちゃうわけか。遠征部隊から怨嗟の声が上がりそう...

赤城「ところで提督、勝負するのはかまいませんが」
赤城が長官に詰め寄っている。なんだろう?
赤城「勝負する以上、やはり勝った方には賞品がある方がやる気も殺る気も出力全開になると思いません?」
GF長官「ぇー……」
長官、めがっさ困った顔をしている。
賞品を出すことを渋っているのではない。赤城からの要望だからだ。

先月の合戦で治療の資材を消費し、台所事情は火の車。そこに赤城からの要望が来ようものなら、最悪、戦略備蓄を取り崩すことになりかねない。
戦略備蓄は国家危急存亡のときに惜しみなく投じるために用意されている我が軍の至宝。のちにM資金の一部と噂される貴重な財産なのだ。

GF長官「賞品ね……うん、賞品……赤城は、ちなみに、どういったものをご所望なのカナ?」
赤城「わたしはボーキサイト大増産で結構ですけど、ほかのコたちには……そうですね、艦上機ですと空母以外の艦娘には不公平ですから、三二號か三三號あたりの電探を1つか2つ、用意してくれませんか」
電探、ね。
たしかに、彼女の言う電探は性能がそれなりによい反面、量産に不向きでGF全体での保有数も絶対的に少ない。金剛や榛名、わたしといった一部の主力艦が装備しているだけだ。
さすが空母勢では古参の部類にはいるだけのことはあって、赤城はほかの空母や艦種への気配りがよくできている。ただの大飯喰らいではないということだ

GF長官「あ~……うん、わかった。初風を見事手に入れてきたら、電探開発を優先しよう」
赤城「ええ、お願いしますね☆ミ」
国民を魅了したというやわらかい笑顔を浮かべ、赤城はニ、三航戰たちのところへ戻っていった。

GF長官「長門は? 勝ったらなにか欲しいというのはないのかな?」
長門「賞品か……ん~」
長門は腕組みしてしばし唸っていたが、見かねた陸奥が耳元でなにか囁くと、パァっと顔を輝かせて長官に詰め寄った。
長門「提督、我々が勝ったら……まぁ勝つのは確定事項だがな。我々が勝ったのなら、うむ、甲巡たちには電探、戰艦には18吋主砲を1基か2基、開発してもらえないか」
長官がやっぱりか、といった表情をしている。
甲巡には新型8吋砲と言う褒美もあるが、それは量産ができない。そこで電探を……というわけだ。
そして戰艦に搭載可能な艦砲で、現在、18吋砲を超えるものはない。戰艦であるなら、最強の艦砲である18吋砲を積みたいと思うのは当然だ。

長門「わたしや陸奥は16吋砲に愛着があるからいいし、伊勢姉妹や扶桑姉妹は瑞雲の後継機こそ欲していて、艦砲は16吋で十分なんだそうだ。ただな」
長門はそこでちょっと声のトーンを落とした。
長門「比叡と霧島の2艦に持たせてやりたいんだ。金剛姉妹4艦すべてに18吋砲が搭載された勇壮な姿をわたしは見たい」
ちらっと、傍らの榛名を見やった。
泣きそうな表情をしているが、大和の視線に気づくや、いつもの弥勒菩薩のような穏やかな笑みを浮かべ、金剛たち姉妹のもとへと去っていった。
金剛と榛名には大和と同じ18吋砲が搭載されている。その搭載はGF長官の命令によるもので、搭載期限は無期限。一時的な移載は可能だが、戰鬪任務などでの貸し出しは、長官の許可がない限り禁じられている。

比叡と霧島が、演習や北方へ出撃する金剛と榛名を複雑な表情で見送っていたのはそれが原因なのだろう。
最強の艦砲を装備したい、そして敵と遭いまみえたい―――
武人ならぬ武艦として世に生まれいでた艦娘にとって、戦いこそすべて。その戦に、最高の艦砲を載せて臨みたいというのは当然のことだ。

GF長官「わかった。善処する」
そうは言うが、電探開発同様、18吋砲の開発も容易ではない。
戰鬪任務とは別に膨大な資材を消費するのが開発だ。
大和(やれやれね。また戰務参謀がムンク状態になっちゃうわ)

こうして、聯合艦隊は無謀ともいうべき三方面一斉攻撃を開始したのでありました。
各方面に展開する戦力は次のごとく。

◇南方方面艦隊/旗艦:『大和』
第一戰隊
 『大和』
第三戰隊第一小隊
 『榛名』
第七戦隊
 『鈴谷』 ・ 『熊野』
第一〇戰隊
 『大井』
第一航空戰隊
 『瑞鶴』 ・ 『翔鶴』 ・ 『瑞鳳』
※『翔鶴』は本海域での敵主力撃破後西方海域に派遣

◇カレー洋艦隊/旗艦:『長門』
目標:『三隈』回収

第一戰隊
 『長門』 ・ 『陸奥』
第三戰隊第二小隊
 『比叡』 ・ 『霧島』
第四戰隊第一小隊
 『愛宕』 ・ 『高雄』
第一〇戰隊
 『北上』
第一航空戰隊
 『翔鶴』 ※南方方面が決着次第本艦隊編入

◇北方艦隊/旗艦:『赤城』
目標:『初風』回収

第二航空戰隊
 『蒼龍』 ・ 『飛龍』 ・ 『祥鳳』
第三航空戰隊
 『赤城』 ・ 『千歳』 ・ 『千代田』
第四航空戰隊
 『飛鷹』 ・ 『隼鷹』 ・ 『龍驤』
第五航空戰隊 ※水上機母艦
 『千歳』 ・ 『千代田』
第二戰隊
 『扶桑』 ・ 『山城』 ・ 『伊勢』 ・ 『日向』
第六戰隊
 『古鷹』 ・ 『青葉』
第八戰隊
 『利根』

北方増援
『金剛』
第二驅逐隊 『島風』・『ヴェールヌイ』
第六驅逐隊 『暁』・『雷』・『電』
第三〇驅逐隊 『長月』・『皐月』・『文月』
第三二驅逐隊 『三日月』・『菊月』



壁|'-')ノよいお年を。
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コメント

Re: NO TITLE

> 大和脱がし提督、こんにちはー!
否定できねぇ(ノ∀`)

> 三方面同時侵攻とは思い切りましたねー。
> 資材がマッハで溶けてく様子が目に浮かびます。こわい。
弾薬がヤヴァいDEATH

> のんびりやるしかないですねー。電探開発でもしようかと思います。
そして資材が底をつく……((;;゜Д゜)))

NO TITLE

くろ提督、改め、愛宕提督、改め、大和脱がし提督、こんにちはー!

三方面同時侵攻とは思い切りましたねー。
資材がマッハで溶けてく様子が目に浮かびます。こわい。

うちでは5-1を集中して攻めることにしましたが、全然ボスにたどり着けず撤退の嵐です。
のんびりやるしかないですねー。電探開発でもしようかと思います。

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